〔 おもとの丘奮闘記2023-⑤ 〕
色々なものと闘っています
「おもとの丘」は、かぼすを栽培して販売する農場です。
今までいろいろ失敗談や苦労したことなどを紹介してきましたが、「闘いという言い方は大げさな」と思わ
れるかもしれません。しかし、本当に闘っているのです。
農業にはいろいろなジャンルや作物がありますが、その中でも「かぼす」は、永年性作物、果樹、柑橘類、
香酸柑橘、ほぼ大分県のみの特産柑橘 などの特性があります。
今回かぼすを中心に、一部農業全般のことも含めて栽培上の闘いを書いてみたいと思います。
(収穫期のかぼす) 今年もおいしいかぼすがたくさん収穫できますように。
病害虫との闘い
かぼすを商品として販売する以上、外観も重要です。かぼすは香りや酸味を楽しむ柑橘類なので、食卓の料理に切
ったものを一切れのせて、料理にかけたりして使います。その際、虫食い跡や病気がついていたのでは興ざめで食
欲も失せます。やはり、きれいな外観が望ましいのです。また、樹を枯らす害虫もいます。
(かいよう病)
かぼすの最凶の病気「かいよう病」
これにかかったかぼすは出荷しません。
ボルドー液を主体に、予防的防除に努めています。
(エカキムシ)
正式名:ミカンハモグリガの幼虫
果実には影響ありませんが、まだ実を成らせない
幼木にとって、最重要害虫です。
きちんと防除しないと、苗の成長が阻害されます。
(カミキリムシの幼虫)
株際に成虫が卵を産み、幼虫が幹を食い荒らしま
す。早期に発見して対処しないと樹が枯れます。
永年性作物ならではの重要害虫で、数年かけて育て
た苗が枯れると苦労が水の泡となります。
←(脱出跡)樹の中で幼虫が成長し、脱出して成虫に
なった跡。
(余談)病害虫の発生は、は気象にも大きく影響されます。特に病気は雨により発生が多くなるので、諸外国に比 べ日本では雨が多いので、果樹農家は大変苦労しています。
自然との闘い
農業は自然とともに行う「業」ですから、気象や自然災害の影響をうけます。
一年生作物である稲や野菜類は、栽培する地域の気象(温度等)が違っても、苗の植え付けや種まきの時期をずら
せば栽培ができます。また、施設(ビニールハウス)栽培を行なえば栽培が可能になることもあります。
ところが果樹類は、一度植えれば数十年の寿命がありその果樹が栽培できる地域が限定されます。(適地)
(余談)一般的に温暖な地域に柑橘類、冷涼な地域は落葉果樹と気象によって棲み分けています。
「おもとの丘」は大分県の北部宇佐市にあり、県南部の佐伯市や津久見市に比べてやや気温が低く、甘夏やデコポン
(不知火)などの中晩柑類を栽培するのにはやや厳しい地域ですが、露地のかぼすは十分栽培できます。
台風、乾燥
昨年、9月の台風とその後の秋~冬にかけての乾燥と、気象災害を受けました。
(台風で倒された苗) (引き起こして復旧しましたが枯れました)
(台風で弱った苗)
台風の風で揺さぶられ、水が大量に流れて根が弱
った苗。その後の乾燥で葉が黄化。
現在はだいぶ元気になっています。
草との闘い
農業全般で言えることですが、「草」は本当にしつこい。油断すると作物が占領されてしまいます。
草は作物に施した肥料を横取りし、つる性の草は、作物にかぶさって日当たりを悪くして作物が成長できなくなり
ます。
「おもとの丘」では、草刈り機と除草剤を組み合わせて何とか草を抑えています。 (写真は載せません)
獣害との闘い
(鹿の食害)食べやすい高さの葉が丸坊主 (野ウサギの食害)ここまで食わんでも
今までも紹介してきましたが、いやはや、獣害はうんざりします。台風で防獣柵が壊れてやられてしまいました。
こつこつ柵を修理して防ぐしかないですね。
また今回も、暗くて重いものになってしまいました。
しかし、こういうことを乗り越えて初めて消費者の方に美味しいきれいなかぼすを届け
ることができるのです。
昨年、おもとの丘のかぼすを購入していただいた方々から、嬉しいお便りをいただきま
した。
・県外在住の奥さんから
「夫が大分県出身で、かぼすが届いた夜は料理にかけて大喜びで食べました」
・老人施設の調理員さん
「施設の記念日にかぼすうどんを出したら、入所者のお年寄りがかぼすまでかじって
喜んで食べてくれました」
こういう声を聴くと、頑張らねばと思います。
( おもとの丘の長老 )
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