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総集編 今年もいろいろありました

更新日:5月27日

〔 おもとの丘奮闘記2023-㉖ 〕



令和5年もあと少しとなりました。おもとの丘で初めてかぼすの苗を植えてから6年目ですが、本当にいろいろとありました。

栽培面では、スタッフ一同「あ~あ」とか「はあ~」「とほほ」とか、悔しい、情けない思いもしましたが、何とか

収穫出荷までこぎつけて、お客様にピチピチのピカピカのかぼすを届けようと選果作業も厳しく行いました。

その結果、昨年ご購入いただいた方が今年も注文していただいたり、今年のシーズン中に何度もご注文を頂いた方もおられ、リピーターのお客様が増えてきました。スタッフ一同喜んでいます。



                                       〔 おもとの丘の出荷箱 〕




今年のいろいろあったことを振り返ってみます。



かぼすの花は気まぐれ

 果樹は大きく分けて、ナシやリンゴなどの落葉果樹と柑橘類を主とする常緑果樹がありますが、落葉果樹に比べ

 て柑橘類は花芽(はなめ)が外観では判別できず、花が咲くかどうかは咲いてみなければ分かりません。

 その柑橘類の中でもかぼすは花着きが微妙で、気象や樹勢、前年の着果量などに影響を受け、不安定です。





(新芽だけで花がない枝:空枝) 











(花だけで葉がない枝:だんご花)             

かぼすの花は、やや弱い短い春芽(前年の春に出た芽)に着くと言われています。強い剪定などをせず肥料も加減して、樹を落ち着かせなければなりません。これがなかなか難しいのです。

今年花が咲いて実が成るはずだったのに花が着かず、当初の予測より収穫量が少なかった園地もあり、出荷計画に影響しました。






病害虫が出ました

 農業は病害虫との闘いと言っても過言ではありません。世の中、無農薬や有機栽培がもてはやされていますが、

 特定の作物や少面積なら可能です、否定はしません。しかしかぼすは永年性作物であり、かつ大規模経営では

 薬剤散布が必須になります。(ただしおもとの丘では、登録のある農薬を基準の農薬散布回数よりかなり減らし

 て散布しています。)


           (かいよう病)             


 (エカキムシ被害)



     (アゲハ蝶の幼虫)



 かぼすにとっての最悪、最凶の病気はかいよう病です。かいよう病は細菌性の病気で、果実に

 病状が出ると外観が悪く、商品価値を失います。しかも枝などに菌が残り、なかなか完治が難

 しい病気です。今年も悩まされました。


 エカキムシはミカンハモグリガという虫の幼虫が葉に寄生して、ちじれることで枝の充実が阻

 害されます。幼木にとって防除が必須の害虫です。


 アゲハ蝶の幼虫は柑橘類の葉しか食べません。(蝶の種類によって食べる植物が決まっています。)

 油断すると苗が丸坊主にされます。これも幼木にとってとても悪いヤツです。




天候に悩まされました

 〇強風で防風ネットが破損


  〇梅雨時期の雨で園地、作業道が一部崩落

  〇夏から秋にかけての猛暑

  〇秋の小雨乾燥


    ・夏の作業は地獄で、皆ヘロヘロでした

    ・秋が暑く皆さん鍋を食べないので、黄かぼすの

     注文が鈍かった。

    ・秋の少雨で、弱っている樹がある。


  栽培面でも販売面でも影響を受けました。




出荷にこぎつけました



悪戦苦闘しながらも、8月17日から出荷を開始しました。おもとの丘のかぼすのウリは、何と言っても新鮮さです。収穫したてのピチピチのかぼすを、消費者の皆さんにお届けすることができました。皆さんからご好評をいただいています。


大分県では、スーパーや直売所にもかぼすがたくさん売られていますが、きったないかぼすや萎びたようなかぼすも見かけます。うちのかぼすは、そんなかぼすとモノが違うと自負しております。







品種の賛否がありました



            〔香美の川〕               〔大分1号〕

 


おもとの丘では、かぼすの2つの品種を販売しています。「香美の川(かみのかわ)」と「大分1号(おおいたいちごう)」です。


香美の川・・・やや小玉、ほとんど種がない、酸味と香りはマイルド

大分1号・・・かぼすの標準品種、種あり、しっかりとした酸味と香り



品種について、購入者の方々からご意見を頂きました。

   

 香美の川ご購入のお客様①・・・「種が少なく切り口もきれい、これは良い」

      〃     ②・・・「種が1~2個入ってた」 → 気象等の影響で入ることがあります。ご容赦                                ください。(完全種なしではありません)

      〃     ③・・・「これはかぼすじゃない  → れっきとしたかぼすの品種です。マイルドな

                 大分1号に比べて物足    酸味と香りをお楽しみください。

                 りない」


 1~2件のクレームはありましたが香美の川の人気は高く、出荷量の関係から、ご注文の受付を途中でストップ

 しました。また、大分1号はかぼすの主力品種(全体の85%)で、種はありますが、種の香りも含めてかぼす

 の香りで、その確かな酸味と香りは大分県人にこよなく愛されています。




完熟黄かぼすの是非

 緑色のかぼすは8月~10月上旬までで、その後、季節の移り変わりとともに緑→黄緑→黄と、成熟に伴って果

 実の色が変わってきます。緑色のかぼすは「未熟果」で、鮮烈な香りや酸味はこの時期が一番強いと言われてい

 ます。この緑のかぼすを一年中出荷する技術は確立しています。(ハウス、露地、貯蔵を組み合わせる)

 しかし、ハウス栽培や貯蔵はコストがかかりますから販売単価も高くなり、一般消費ではなく飲食店などの業務

 筋が対象となります。秋から冬にかけて、一般消費者の方もかぼすを楽しんでいただきたいと、黄かぼすを販売

 しています。



                     〔黄かぼす出荷箱詰め〕



                     〔樹成りの完熟黄かぼす〕


                 

 完熟黄かぼすは、樹に成らせたままで成熟させ出荷します。収穫後しばらく放置して色が抜けたかぼすではありま

 せん。鮮烈な香りは緑のかぼすよりはやや劣りますが、果汁がたっぷり出て酸味もまろやかになり、鍋物用などの

 ポン酢にすると絶品です。お客様の中には、この時期に自家製ポン酢を作って数か月楽しんでいるという方もおら

 れます。

 しかし、黄かぼすの認知度はまだまだ低いようです。「緑かぼすも良いが黄かぼすもおいしいな」と、来年以降じ

 わじわとでもご注文が増えることを期待しています。

 ちなみに、緑から黄色に変わる過渡期(10月中旬~下旬)に、「黄緑かぼす」を試験的に販売してみましたが、

 あまりご注文がありませんでした。緑かぼすと黄かぼすの両方の特性を備えて良いと思っていたのですが、イマイ

 チでした。やはり外観が中途半端だったからかなと思っています。

 



「おもとの丘」は発展途上

 おもとの丘は農場開設から6年目、出荷開始から3年目です。ほぼ毎年新しくかぼすの苗を植えて栽培面積を拡大

 していますが、まだ目標面積の半分程度です。農場スタッフも徐々に増員していますが、採用してすぐにバリバリ

 仕事ができるわけではありません。一人前になるためには数年間の研修(修行)期間が必要になります。

 栽培面でも販売面でも、毎年新たな課題が発生し、そのたびに悪戦苦闘、試行錯誤して乗り越えています。この経

 験が若いスタッフの血となり肉となることでしょう。数年後あるいは10年後、おもとの丘はひとかどの農場にな

 っていることと思います。乞うご期待。



        

            昨年2022年から今年にかけて、このブログ「おもとの丘奮闘記」を書いてきました。

            面白おかしくは書いていません。ひたすら、農場や作業の説明、かぼすの成長記録や生理

            を皆さんに知っていただこうと書いてきました。

            2年経ちましたので、第1ステージ終了とさせていただきます。お読みいただいた皆様、

            ありがとうございました。             (第2ステージは未定です。)


            おもとの丘奮闘記 完    


                                       〔 おもとの丘の長老 〕

            

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