( おもとの丘奮闘記 ⑳ )
出荷開始日が近くなりました
おもとの丘のかぼすの出荷開始日が近くなりました。今年の出荷開始日は8月8日を予定しており、準備を進
めています。
おもとの丘で栽培しているかぼすは、露地栽培(ろじさいばい:ハウスではなく自然状態の栽培)です。露地 栽培では、気象条件などの諸条件によって、毎年出荷開始日が変わるのです。
(かぼすの栽培形態)
かぼすは出荷量の多少はありますが、一年中出荷されています。これは、ハウス、露地、貯蔵を組み合わせ
て、周年出荷を目指してきたからです。
3月~ 5月~ 7月~ 8月~10月上旬 10月~12月 1月~2月
超早期ハウス 加温ハウス 無加温ハウス 露地栽培 短~中期貯蔵 長期貯蔵
さまざまな栽培形態で一番出荷量が多いのは、やはり、露地栽培です。ハウス栽培や貯蔵はコストがかかり
ますので、販売単価も高くなります。需要も料亭等の業務筋が主体になってきますので出荷量も限られてき
ます。
一般消費者の皆さんにリーズナブルな価格で販売できるのは、露地栽培の時期なのです。
出荷開始日は何を基準に決める?
露地栽培の出荷開始は、果汁歩合(かじゅうぶあい:全果重に占める果汁の比率)が概ね20%以上になった
時期から、と申し合わせをしています。
絞ってみる。
ほぼ基準には達しているが、
この果実はやや皮が厚いので
なかなか力がいる。
(品種:大分1号 幼木)
露地栽培の出荷開始に影響する要因
露地栽培かぼすの出荷は、一般的8月上~中旬からと言われています。しかし、大分県の中でも産地によって
微妙に変わってくるのです。
温度条件・・・春先からの積算温度が高い方が出荷時期は早くなります。4~5月の温度が高けれ
ば花が早く咲き、その後の6~7月の温度で「細胞分裂」「細胞肥大」「液胞充実」
の各ステージが早く進みます。
臼杵市を中心とする県南部は早く、竹田市などの中山間地はやや遅くなります。おもとの丘は
県北の沿岸部なので、両産地の中間ぐらいでしょうか。
樹 齢・・・・・かぼすの樹の年齢によっても果皮の厚さや果汁の出方が変わってきます。樹が若いと、栄養生
長が盛んで樹の勢いが強く、皮が厚い傾向があります。樹齢が10年以上で樹勢が落ち着いた
樹は皮も薄く果汁の出が早くなります。
土、肥料・・・・土が肥えている園や肥料を多く入れた園では、やはり樹勢が強すぎて遅くなります。
品 種・・・・・種なし品種の「香美の川」(かみのかわ:おもとの丘でも栽培しています)は皮が薄く、果汁
歩合が高い傾向があります。
成る位置・・・・1本の樹の中でも、上の方に単独で成っているかぼすと下の方で群状に成っているかぼすでは
皮の厚さや果汁歩合が異なります。下の果実の方が皮が薄く果汁が良く出ます。
樹の上部で上向きに成っている果実
(天成り果:てんなりか)
(天成り果の断面)
皮が厚く、果汁は少ない
ずっと成らせておくと巨
大化する
しかし、香りは強い
( 香美の川 )
種なし品種「香美の川」
皮が薄く果汁は出やすい
なぜ早く出荷したいか
できることならば8月上旬の早い時期に出荷したいと考えていますが、果汁の出が微妙で、悩ましい時期なの
です。そんなに果汁の出具合を心配するならば、出荷をもっと遅らせばよいのでは? と思われることと思い
ます。その通りです。しかし、
お中元需要が魅力的なのです。
7月中旬~8月上旬はお中元需要で、贈答品の荷動きが激しくなる時期です。我がおもとの丘のかぼすも
この需要に乗ってバンバン売れるといいなと思うのですが・・・。
8月上旬は悩ましい時期です。早く出荷したいが、果汁が十分出るか心配。
樹のやや下の方で
群状結果したかぼす
果汁は出やすい
できるだけ果汁の出そうな果実を選んで収穫し、丁寧に選果して出荷したいと思います。
たまに、ごつく皮の厚いかぼすが混ざっていたら、
「樹も若いし、スタッフも若い 元気があってよろしい」
と言っていただくとありがたいなあ。
( おもとの丘の長老 )
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