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アゲハ蝶も害虫です

更新日:5月28日


〔 おもとの丘奮闘記2023-⑦ 〕



昆虫マニア、蝶マニア

 今回この原稿を書くにあたりちょっと調べようとして、アゲハ蝶をインターネットで検索してみました。まあ出る

 わ出るわ、写真から解説文から飼育法まで、アゲハ蝶に関するありとあらゆることであふれていました。


 世に昆虫マニア、蝶マニアの人が多いというのは知っておりましたが、改めてすごいなと思いました。純粋にアゲ

 ハ蝶に興味や愛情を感じている人に、とやかく言うつもりはありません。


    しかし、かぼす(柑橘)を「業」として栽培している農場にとって、アゲハ蝶は害虫です。



( アゲハ蝶 成虫 )


 ナミアゲハ

 (幼虫は柑橘類の葉を食べて成長します)




(※この写真のみネットからお借りしました。)





幼虫が悪さをします

アゲハ蝶の成虫は蜜を吸うだけなので問題ないのですが、幼虫が悪いことをするのです。

 アゲハ蝶の仲間はかなり多くの種類があり、その種類ごとに幼虫が食べる植物が決まっています。柑橘類を食害す

 るのはナミアゲハ(一般的なアゲハチョウ)で、我が農場が困っている種です。







( 食害中の若齢幼虫 )



 旺盛な食欲で葉を食べます。

 















( 葉を全部食べられた枝 )


 一枝に2匹もいて、葉が食べつくされた枝。

 特に樹を大きくしたい幼木期に葉を全部食べられ

 ると、この枝は使い物になりません。



 (老齢幼虫)






年に何回も発生する

 アゲハ蝶は、卵→幼虫(1齢~5齢)→蛹(さなぎ)→成虫が1サイクルで、40~50日で一回りし、このサイ

 クルを年3~4回繰り返すと言われています。一度退治したぐらいでは防除は完了ではなく、何回も殺虫剤をかけ

 ることが必要になります。





( アゲハ蝶の卵 )


 うちの農場で4月の13日に初めて確認しました。


 孵化した幼虫が食べられるように、柔らかい新芽に

 しか卵は産みません。(古い葉は硬い)


 4~5日で孵化。







( 若齢幼虫 ) 

 

 1~2齢くらいの幼虫。小さいながら黒いので見つ

 けやすい。


 鳥などに狙われやすいのではないかと思っていた

 ら、これは、鳥のフンに擬態しているらしい。

 (白い筋も入って芸が細かい)






 


( 老齢幼虫 )


 蛹になる直前の幼虫。4~5㎝の大きさになり、食

 欲も旺盛であっという間に一枝を坊主にします。


 おでこに目のようなものが見えるのは、天敵を欺く

 ニセの目。一説によると、緑の蛇を真似しているの

 では?とのこと。









( 葉の色に酷似 )


 老齢幼虫の色は葉の色によく似ていて、パッと見た

 だけでは見逃すことがあります。


 ・枝が丸坊主になっている

 ・黒い虫くそがある

 ・プ~ンと臭いにおいがする

           などで発見できます。







エカキムシの防除で退治できます

 柑橘類の幼木の最凶害虫は「エカキムシ(ミカンハモグリガの幼虫)」で、殺虫剤をかなりの回数散布しますが、

 アゲハ蝶の幼虫もこのエカキムシの薬剤で同時に防除できます。

 しかし、この防除も雑にやると薬剤のかけ漏れがあって、巨大なアゲハの幼虫が生き残って枝を丸坊主にしている

 ことがあります。防除は丁寧にやらないといけませんな。


 安心してください

  かなりの回数殺虫剤をかけると書きましたが、これは、まだ実を成らせない「幼木」のみに限る使用法で、農薬

  取締法でも認められています。うちでは、植えてから3年間を幼木期として管理しています。

  一方、実を成らせる「結果樹」では、樹もだいぶ大きくなって、少しくらいアゲハの幼虫に食べられても影響は

  少なく、また、幼木期のような殺虫剤のかけ方は認められていないので、「おもとの丘」では、生育期全般を通

  じて殺虫剤を極力使用しないようにしています。



         いくら柑橘類の葉しか食べられないといっても、人の植えたかぼす園に無断で侵入し、

         かってにむしゃむしゃ葉を食べたらいかんでしょうが。

         成仏しなさい。 合掌。

                                    ( おもとの丘の長老 )


  

                ※次回は、連休中のため1回休みます。      

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